
2025年問題もとうとう間近になってきました。
介護業界の人手不足問題は相変わらず大きな社会問題となっていますね。
介護職員が足りないから、要介護者の世話をしてくれる施設がない。
要介護の親を預かっている施設が見つけられないから、介護離職を余儀なくされる。
介護離職し家で親の面倒を見ていると、最悪のケースでは介護殺人に発展してしまう事もある。
この悪循環を抱えたまま、日本の未来はどこへ向かおうとしているのか・・・。
現在この問題に苦しむ当事者の方々は、未来が不安一色で塗りつぶされているとさえも思ってしまいます。
しかし、同じ問題でも、国が変われば、
といった国々も存在するのです。
その違いは何なのでしょうか
日本は超少子高齢社会であり世界初の人口減少国家です。
こんな性格を持った国の国民が安心して暮らせる為には、また、日本が世界のモデルケースとなる為には、国の制度はどうあるべきなのか?
国民は何を考えるべきなのか?について私の意見を交えながら書いていきたいと思います。
目次
なぜ北欧は福祉先進国が多いのか?
福祉先進の北欧と日本とでは決定的に何が違うのか?
スウェーデン、オランダ、デンマークなどといった、北欧の福祉先進国と呼ばれる国々は、日本に比べて何が特に違うのでしょうか?
きっと知っている方も多いと思いますが、
という事です。
ただ、この側面だけを捉えると、日本人の気質としては、
と思われる方も多いと思います。
北欧の国々の税金は日本と比較するとどれくらい違う?
ここで簡単に国別の税金比較を見てみますが、
デンマーク : 所得税:約55%、消費税:25%
スウェーデン : 所得税:約57%、消費税:25%
日本 : 所得税:累進制(金額によって変わる)、消費税:10%
と、初めて知る人はビックリしますよね。私も初めて知った時はかなり驚きました。
もし日本でもこういった北欧のような税制を見習い、この高税率を導入しようとしたりしたら、きっと猛反発が起きますよね。
政権与党は国民の指示が欲しいから絶対にこんな無茶なことは即座にはやってきませんよね。
しかし、日本人って「税金が高い」となると、ほとんどの人が悪いイメージしかありませんよね。「血税だ!血税だ!」なんて言って。
でも、この高税率の北欧の国々って何故か、
日本よりはるかに生活の満足度が高いんですよね。
なぜなんでしょう?
高税率の北欧の国々はなぜ国民満足度が高いのか?
なぜ、この高税率の北欧の国々の国民満足度が高いかというと、
「国民の未来を国が守ってくれるから」
なんですね。
医療、福祉、教育、年金などの財源は全て税金から賄われているそうです。
うらやましい限りですね。私は税率を上げてもらっていいから是非そうして欲しいです。安心して暮らせる未来が欲しいです。
しかし、この考え方は人々の生活状況によっても違ってくると思われます。
きっと私が高所得者なら、「高税率はやめてくれ。」と言っていると思います。
でも、本当に上に述べたような、生活の根幹の部分の社会福祉の費用が、全額国負担で賄ってもらえるとなると、将来に対する不安ってかなり減りますよね?
先の事をあれこれ考えすぎず、今に集中でき、今を楽しめるかと思います。
ひょっとしたら、日本人にうつ病患者が多いのは、先の事をあれこれ心配しすぎる国民性があるからかもしれません。
北欧の福祉先進の国々では介護職も公務員って本当?
北欧の福祉先進の国々の福祉の特徴とは?
本題である介護の話になりますが、福祉国家の北欧の国々では、医療・介護などの福祉費用は、そのほとんどを国が賄ってくれているといいます。
日本のように介護保険内で対応できるものは保険が利用できるが、はみ出す部分には関しては全額自己負担といったようなことはなく、その人に必要な介護を受けられるということです。
しかし、現在の日本と決定的に違うのは、北欧の介護は「在宅」中心であるということです。
現在、日本でも「在宅へ」という流れが出てきていますが、比較にならないほど、「在宅主義」です。
そして、在宅に何回もヘルパーさんを派遣するという形をとっています。
スウェーデンやデンマークなどでは、介護職は公務員!?
スウェーデンやデンマークなどでは、介護職が公務員なのです。
日本の介護士さんからしたら、超オドロキですよね。
でも考えてみれば「福祉国家」と言われるなら当たり前ですよね。
公務員ですから、お給料も労働条件ももちろん日本の介護士さんに比べりゃ安定しています。
北欧では介護士の社会的基盤がしっかりとしています。だからこそ福祉国家が作れているのでしょうね。
日本では「介護士が公務員??笑わせるね。」といった雰囲気は間違いなくあります。
私は別に介護士を公務員にする必要はないと思いますが、介護士に対する社会の見方は無理やりにでも変えていかないと、介護の未来は破綻すると危惧しています。
日本の介護士公務員化はありえるのか?
介護士の公務員化はあるのか?
先に書いたように、日本の財源問題や日本人の気質などを考えると、介護士の公務員化はほぼないといっても良いでしょう。
もし仮にあってもかなり未来の話になるかと思われます。
2019年10月に消費税の10%への増税に合わせて、処遇改善交付金が増額されましたが、それで恩恵を受けた方はどれほどいらっしゃるでしょうか?
また時代は「大きな政府」から「小さな政府」へとどんどん移行していっています。
超資本主義を推し進めてきた日本が、日本全体をギュッと絞って出た搾りかすのような存在が介護業界です。
若い働き手を支援する強い政党でも出てくれば少しは事態も変わるかもしれませんが、今は自民党一強の時代です。
それを考えると、北欧のように日本も消費税が25%になったところで、介護士が公務員として安定するということも考えにくいと思われます。
介護士公務員化の前に必要なことがある?
「スウェーデンって介護士が公務員でいいな~。」という安易な問題ではないのが介護士社会的評価問題です。
スウェーデンでは「介護に携わる者」の社会的な評価や責任、権利などを明確にしています。
そして公務員としています。だから安定しているのだと思われます。
しかし、日本はスウェーデンとは逆に、「介護」に与えられている権限は小さく、また責任だけは大きすぎるのです。
そして社会的評価が低すぎる。
これがさらに介護業界を魅力のないものにすることに拍車をかけていると思います。
もう守りに入ってガチガチに固めることに一生懸命で、保守的で保身のことしか考えていない人間を多く生み出してしまっています。
介護が成長産業になれない原因でもあると思います。
介護士の公務員化よりも先に責任と権限の明確化がとても大切だと思われます。
さいごに
最近、メディアでもチラホラと「介護士の給料が全産業の平均に比べて低すぎる」といった報道もされるようになってきました。
しかし、これは介護業界の人手不足という問題が先にあるからです。
「なぜ人手が少ないのか?→給料が安いからじゃないか?」
という単純な発想です。
しかし、介護業界や介護士に関する問題は「お給料」の話だけではありません。
私は、日本が高福祉国家になるには介護士の社会的評価を上げることが何よりも最優先だと思っています。
介護の仕事を日々していると、日本にはまだまだ
といった考え方の人が多いように感じます。
でも自分が、そんな扱いや偏見で見ている業界の人に、将来の自分や大切な家族が面倒を見てもらうとなればどうでしょう?
そんな社会的イメージの環境に、高福祉が実現できるわけもありません。国民一人一人が老後も幸せに暮らしたいなと望むのであれば、一人一人が考え方を見直さなくてはいけないと感じています。