
「廃用症候群(生活不活発病)」って介護の勉強を少しでもしたことがある人でないと初耳ですよね。
私も初めてこの「廃用症候群(生活不活発病)」という言葉を見た時は、
と思ってしまいました。
しかし、耳馴染みがないくせにこの「廃用症候群(生活不活発病)」は、これからの介護時代においては、一番重要な知識かもしれません。
この記事では、そんな「廃用症候群(生活不活発病)」の原因や症状・予防法をわかりやすく簡単に説明したいと思います。
なぜ、プロの介護士は必須の知識とスキルなのかもわかって頂けるかと思います。
この記事で得られる情報
目次
廃用症候群(生活不活発病)とは?
廃用症候群(生活不活発病)は以下のように定義されています。
”廃用症候群とは、安静状態が長期に渡って続く事によって起こる、さまざまな心身の機能低下等を指す。生活不活発病とも呼ばれる。特に病床で寝たきり状態でいることによって起こる症状が多い。”
byウィキペディア
しかし、具体例がないと、病名は難しいしよくわからないですよね。
以下で、介護現場で見てきたたくさんの症例を元に、わかりやすく説明させて頂きます。
廃用症候群(生活不活発病)の原因は?
廃用症候群(生活不活発病)とはつまりなにか?
簡単に言うと、
「人が動かなくなることによって発症する病気や障害」
の事なのです。
だから、
なのです。
わかりやすい一例を挙げてみましょう。
\廃用症候群のイメージしやすい事例/
またギプスを外した側の脚って、とってもやせ細って貧弱になっていますよね?
たとえ若くても、両脚を骨折などして2週間も歩かないでいれば、人の筋力はどんどん落ち、スムーズに歩けなくなります。
私たちは、何かしら毎日カラダを使い、頭を使いしているから、一日一日の自分の変化に気づけないだけなのです。
廃用症候群(生活不活発病)の症状は?
廃用症候群(生活不活発病)の症状| 筋萎縮(きんいしゅく)
例えば、高齢者に多い「誤嚥性肺炎」などで入院していた入居者さんが、退院して施設に戻ってこられたりすると、
などと、以前は歩けていたのに、ほんの数週間のうちに歩けなくなっていることがあるのです。
高齢者は若者に比べて筋肉が痩せてしまうスピードが速いんですね。
そして上半身よりも下半身に顕著にくる。
人は歩けなくなると、なおさら廃用症候群が加速しますから、介護士としてはショックを受けるところであります。
廃用症候群(生活不活発病)の症状| 関節拘縮(かんせつこうしゅく)
間接の拘縮は、脳卒中などの後遺症でよくみられます。
カラダの内側に手足がギュッと固まってしまっているのが典型的ですね。
こちらは手指、ヒジやヒザの関節によくおこります。
今まではヒジもヒザも、曲げ伸ばしがしっかり出来ていたのに、入院して帰ってきてからは
みたいな事ってよくあります。
関節が拘縮して固まってしまっているので、無理に伸ばそうとすると、骨が折れます。
廃用症候群(生活不活発病)の症状| 褥瘡(じょくそう)=床ずれ
詳しくは、【【褥瘡(じょくそう)=床ずれ】とはどんな症状?原因や予防法はあるの?介護する人は絶対知っておきたいコト】を読んでみて下さいね。介護士としてはこれを発見すると超ショックを受けます。
廃用症候群(生活不活発病)の症状| 骨粗しょう症
骨粗しょう症はきっととても馴染みがあるのではないでしょうか?特にご年配の女性に多くなるといわれていますよね。
骨の密度が少なくなり、骨が折れやすくなります。
廃用症候群(生活不活発病)の症状| 起立性低血圧(きりつせいていけつあつ)
介護現場では、入居者の方をベッドから離床介助(起こす介助のこと)する際に、よく起こります。
寝ている状態から座る状態へ、急激に姿勢が変わり、頭部へ流れている血液が急激に下半身の方へ流れるために起こります。
離床介助の際は、ベッドの頭部を挙げてしばらくしてから離床しましょう。
廃用症候群(生活不活発病)の症状| 便秘・尿便失禁
腸内や肛門周辺って、便を押し出すような働きを常にしてくれています。
などとCMでもよく言われたりしますよね。
若い人でも、休みの日で一日中ゲームなどをして全く動かなかった日などは、少し便秘気味になりませんか?
これも廃用症候群の一種です。
寝たきりになると、自力で大便を排泄することが困難な人が増えます。
廃用症候群(生活不活発病)の症状| 認知症
施設などで入居者さんが転倒して骨折して入院されることはよくあります。
そして、退院されて晴れて戻ってこられるわけですが・・・。
よくあるのが、
と冗談半分で来てみたところ、
といった事はよくあります。
退院後に、表情まで能面のような無表情になってしまって、ひどいとご飯の食べ方も忘れてしまっている人もいます。
病院に入院して認知症が進行する人は、本当に多いです。
他にも廃用症候群だと思われる症状はたくさんありますが、介護現場でよく見る例を挙げてきました。
廃用症候群(生活不活発病)の予防法は?
上の廃用症候群(生活不活発病)の症状で見てきたように、
廃用症候群は身体と精神の両方に起こる
ということです。
つまり、単純に、
身体と精神を動かすことが予防法
になります。
「頭を使わないから、記憶が遠のいていく。」
そういうことじゃの。
廃用症候群(生活不活発病)の原因や症状・予防法の知識はなぜプロの介護士に必須なのか?
法律が定義する「介護」とは?
介護に関する法律の中に以下のような条文があります。
介護保険法 第4条
国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする。
社会福祉士及び介護福祉士法 第44条
社会福祉士及び介護福祉士は、その担当する者が個人の尊厳を保持し、自立した日常生活を営むことができるよう、常にその者の立場に立つて、誠実にその業務を行わなければならない。
ここから読み取れるのは、
「そして介護士はその援助をしなくてはいけない」
という事ですよね。
廃用症候群(生活不活発病)の原因はナニだった?
廃用症候群(生活不活発病)の原因は、
「動かないこと。動かさないこと。」
でしたね。
だから、法律に則ってプロの介護士の仕事をするならば、
「カラダに障害があっても、使える機能は使って、その有する能力の維持向上に努める」
ことを援助することが求められるわけです。
今後の介護をとりまく社会のの動向は?
財源の問題もあり、高齢者は、どんどん
と言った声が何年も前から言われています。
高福祉国家の北欧などでも、ほとんどの人が在宅で過ごし、施設へ入る人は少ないと言います。(いい悪いの話ではなく、もちろん文化的背景などは結構違います。)
認知症高齢者がどんどん増え、介護士の人手は増えない現状がありながら、日本も北欧のような体制を目指しているのか、「施設から在宅へ」言われ続けているのです。
となれば、
という事です。
その援助の為にプロの介護士が存在しているわけです。
だから、廃用症候群を予防するスキルは、プロの介護士にとっては、必須だということです。
【廃用症候群】原因や症状と予防法|まとめ
まとめます。
廃用症候群の原因
廃用症候群の症状例
✅関節拘縮(かんせつのこうしゅく)
✅褥瘡(じょくそう)
✅骨粗しょう症
✅起立性低血圧(きりつせいていけつあつ)
✅便秘・尿便失禁
✅認知症
廃用症候群の予防法
でした。
それぞれの症例に対し、具体的にどういったアプローチをすれば良いのかについては、また別の記事で紹介させて頂きます。