
この記事では糖尿病に関する事をまとめとして書いていきます。高齢者介護の現場にいると、本当に糖尿病をお持ちの方やその予備軍のような人が多い事に驚かされます。
糖尿病は『サイレントキラー』と言われるだけあって、静かに忍び寄るくせに、人の命を奪うほどの危険性のある病気です。
誰かの介護をする方は、しっかりと知識をつけて糖尿病の症状には敏感になっておいた方が良いと言えるでしょう。
目次
糖尿病の症状は?早期発見の為にはどこを見る?
糖尿病を持病としてお持ちの方は、その症状の重さにもよりますが、以下のような症状が現れる事が多いです。
介護の現場で日々高齢者と接していると、その症状から「この人、糖尿病じゃないか?」と疑う事もよくある話です。
頻尿・多尿
別に利尿剤(排尿の両を増やす薬)などを服用していなくても、おしっこの量や回数が増えます。
多汗
汗の量が増えます。高齢者は汗の量が減ってくる事が多いですが、糖尿病をお持ちの方は、汗の量が多い事がよくあります。
口の渇き
よく口が渇くため、飲む量も増えます。そして尚さら尿の量が増えます。介護をしていると、こういった人のトイレ介助やオムツ交換の回数も増やさないといけません。
手足のしびれ
うまく手先が仕えない事が見られます。認知症などを併発していると、見極めが難しくなりますが、食事などでは食べこぼしが多く見られたりします。
温度への感覚の鈍麻
真夏でも「寒い寒い!」と言われたりします。体の温度調節がうまく出来ず、こたつや電気毛布なども一番高い温度設定で使ったりされますので、低温やけどには要注意です!
糖尿病の種類は何がある?
糖尿病の種類には、Ⅰ型やⅡ型糖尿病、妊娠糖尿病、その他などがあるそうです。
ここでは、高齢者によくある糖尿病について書いていきますので、Ⅰ型とⅡ型に限って説明していきます。
【Ⅰ型】糖尿病
Ⅰ型もほとんど見る事はないですが、Ⅱ型があるので対比として書いておきますね。
Ⅰ型は、高血糖を適正化するためのインスリンが産生されなくなるタイプの病気です。
【Ⅱ型】糖尿病
9割以上の方がこちらのⅡ型に入ります。遺伝や生活習慣からくるものだと言われていますので、誰しも身近に1人くらいはおられるかもしれません。
このⅡ型は、インスリンが生成されるものの、その量が少なかったり、力が弱かったりするものです。
度合いにもよりますが、最初は、運動・食事などの生活習慣を整えるところから治療が始まります。
介護現場で、糖尿病をお持ちの高齢者に話を聞くと、やはりなにかしらの職生活の習慣がからんでいるようです。
糖尿病は『合併症』が超恐ろしい!絶対知っておきましょうこの3つ!
糖尿病は進行すると、合併症を引き起こすと言われています。この合併症がとてつもなく恐ろしすぎるのが糖尿病の特徴です。
愛する家族の為にも、自分自身の為にも、「行く末はこうなってしまうのか・・・。」と、このポイントだけは特に知っておきましょうね。
糖尿病腎症(じんしょう)
結論を言いますと、人工透析になるということです。
人間の体は正常に動いていると、血液からの老廃物などを腎臓で尿にして排泄してくれますが、この腎臓の動きが悪くなると、尿にして排泄できず、老廃物が体に溜まります。体内の毒素を排泄できなくなるという事です。
この体内の毒素を排出させる為に、週に何回も病院に通って長時間をかけて、機械的に毒素を排出します。
これ本当に大変そうですよ。
糖尿病網膜症(もうまくしょう)
結論を言いますと、失明するということです。
失明になる原因として、緑内障に次いで、第二位の失明原因疾患です。それだけ多いという事ですね。
糖尿病によって網膜の血管が弱くなって眼底出血などを起こし、進行すると失明に至ります。
糖尿病神経障害(しんけいしょうがい)
結論を言いますと、脚を切断する必要があるということです。
私が介護現場で接してきた中では、この糖尿病によって脚を切断している人が一番多かったような気がします。
腎症も網膜症も怖いですが、この脚の切断は怖すぎませんか・・・。
なぜ切断する必要があるかというと、糖尿病の合併症はすべてにおいて、体の隅々まで血液や神経の正常な動きを阻害されるわけですから、脚のような心臓から一番遠いような部位は特に栄養が届きにくくなるということです。栄養が届かないから、つまり腐るわけです。生きながらにして体が腐るって現実的な話ではないですよね。
それだけこの糖尿病の合併症が恐ろしいという事です。
糖尿病の高齢者を介護するうえで注意すべき事とは?
糖尿病者やその予備軍にあたるような方を介護する場合は、以下のようなポイントに注意して介護しましょう。
血糖に関する数値に敏感になる
糖尿病にはその目安となる血液の数値があります。
血糖値やHbA1c(ヘモグロビン エーワンシー)というものです。
血液検査などの度に自分でも意識してこの数値は見るようにしておきましょうね。
正常値の目安
HbA1c : 6%以下
食事内容に気をつける
施設などに入居されている場合は、栄養士さんが糖尿病食などを管理されているので安心かと思います。在宅で介護されている場合は、大変ですよね。
運動を工夫する
運動が大切ってわかっていても、高齢者相手に運動をしてもらう事が大変なのは想像するとすぐわかりますよね。だから、少しでも残存機能を使うように介護したり、会話したり手先を使う事だけでも意識してしてもらう事が大切になってきます。
低温やけどに注意
糖尿病になると、神経障害から痛みや温度に関する感覚が鈍くなります。だから、こたつや電気毛布などを高温で使用しているのに、実感としてはそこまで熱く感じていない場合があります。すると、低温やけどを引き起こす恐れがあります。さらに糖尿病者は、そのやけどした部位から皮膚が腐ることに繋がるので、特に神経質になる必要があります。
爪切りに要注意!!
特に足の爪切りなどは、感覚も鈍っていて、たとえ皮膚を切ってしまっても、痛みを感じない場合があります。そして、その傷口からバイ菌が侵入し、足を腐らせていく原因の元となる場合があります。
→介護現場でも糖尿病のある方の足の爪切りは、看護師さんにしてもらう事になっています。
足を清潔に!!
爪切りとも関連しますが、足の爪切りなどでもし皮膚を傷つけた場合、その足が不潔であったら特に要注意です。下肢の切断に繋がる元ですからね。糖尿病者の足の清潔保持は特に神経を使いましょう。
さいごに
さらっと簡潔に書いてきましたが、介護をする上で超重要なポイントだけは押さえてきましたので、これだけでも充分かと思います。
介護の仕事をしていても、やはり「サイレントキラー」だけあって、静かに忍び寄る病魔なので、なかなか神経質になることが難しいです。
だから介護現場では複数の介護士さんや看護師さんなどの多職種の人たちでチームでケアできるありがたみを知ります。
よく世の中では「介護は誰でもできる仕事」なんて言われたりしますが、在宅でも施設でも、介護する人は、気を緩めずに神経をはっていないと、要介護者の「失明、足の切断、死」につながる、超怖い責任重大な大変な仕事だということですね。
世の中の介護に携わるみなさま、本当にご苦労様です。