
誤嚥性肺炎という病気をご存知でしょうか?
芸能人が誤嚥性肺炎で亡くなったり、日本人の死因ランキングで上位に食い込んできた事もあり、かなりの知名度になってきていると思います。
今回の記事では、介護現場で数々見てきたこの誤嚥性肺炎にフォーカスして書いていきます。
目次
誤嚥性肺炎とは?なにが原因で発症するの?
『誤嚥性肺炎』って文字だけ見ると難しいですよね。
簡単に言うと、『誤嚥(飲み込みを誤り気道に入る)』によって、引き起こされる『肺炎』の事です。
風邪などの病気をこじらせて肺炎に移行するような感じとはちょっと違いますよね。
特に何の症状もなかったのに、急に高熱が出て、病院へ受診したら『誤嚥性肺炎』と診断されたというケースはよくあります。
誤嚥性肺炎は何が原因で発症するの?
ではなぜ、この『誤嚥』が肺炎に繋がってしまうのか?
それは、高齢者の抵抗力の弱さに起因します。
歳も若く健康な体の人であると、たとえ飲み込みに失敗してムセ込んでしまっても、ムセることにより体外へその異物や細菌を排出する事が出来ます。
しかし、高齢になり抵抗力が弱ってくると、若い人と同じようにはいきません。
そのまま細菌が肺の中で繁殖してしまい肺炎を引き起こします。
誤嚥性肺炎が発症しやすい人っているの?
高齢で抵抗力が弱っていると発症しやすいです。
なので、ムセる事が多い高齢者は要注意です。体が弱ってくると、口をモグモグして口を閉じて、ゴックンといった一連の動作さえもままならない人が出てきます。そうなると確実に誤嚥は増えます。
また、ムセる力もない方も中にはおられます。そのような方は特に要注意です。
→関連記事:不顕性誤嚥とは?超恐ろしいサイレントキラー
誤嚥性肺炎の初期症状は何がある?見分け方は?
私の経験上の話ですが、ほとんどの高齢者が、風邪のような症状も出ていないのに、発熱します。例外も時々はありますが、ほぼ発熱すると思って間違いないでしょう。
あまり熱が出ない場合も時々ありますが、その場合でも食欲がない、痰がからんでいるなどの症状はあるかもしれません。細かい様子観察が必要です。
誤嚥性肺炎の初期症状を見分けるには?
毎日のように熱を測っているとわかりやすいですが、そういうわけにもいかない場合も多いと思います。その際は、やはり日ごろの介護者による観察がものを言います。
観察ポイント
・痰がからんでいるのでは?
・食欲がないのでは?
などと感じたら体温等のバイタルサインを測ったりしてください。
肺炎の初期症状を疑ったら?
急激に高熱が出れば、誰だって心配になり、病院を受診すると思います。しかし、必ずしも急激に高熱が出るとは限りません。緩やかに37℃代の熱が続く場合も多いです。だから、「ちょっとした風邪かも・・・。」と油断してしまう場合もあります。
しかし、先述の通り、この『誤嚥性肺炎』は日本人の肺炎による死因を第3位に押し上げるほどの恐ろしさです。
静観することなく、すぐに病院へ受診される事をおススメします。
誤嚥性肺炎を予防するのに介護士に出来ることは?
まず、誤嚥性肺炎を防ぐには食事を誤嚥しないようにする事が何よりも大切です。
その為には基本的なポイントがありますが、「自分が介助される側だったら?」という視点がとっても大事です。
食事介助の際の注意ポイント
・食事介助のタイミング
・トロミの付け方
→関連記事:誤嚥性肺炎を防ぐ食事介助のポイントとは?
適切な口腔ケアで誤嚥性肺炎を予防する
口腔ケアとは介護業界の専門用語になりますが、口腔ケアとは簡単に言うと歯磨きの事です。
「歯磨きで誤嚥性肺炎を予防できるの!?」
って思われるかもしれませんね。私も思っていました。
なぜかと言うと、介護業界においての口腔ケアは、歯を綺麗に磨き虫歯を予防する目的よりも、以下のようなもっと大切な目的があります。
口腔ケアの最重要目的
・食べかすを綺麗に取り除き、口の中に細菌を繁殖させない。
・心臓病の予防
→関連記事:介護における口腔ケアの重要性とは!
肺炎球菌ワクチンの予防接種を怠らない
肺炎球菌ワクチンというものが65歳以上の高齢者において「定期接種」となっています。定期接種とは自治体などが法令に基づいて行うもので、費用も公費からまかなわれる事が多いものです。必ず忘れずに接種しましょう。
さいごに
誤嚥性肺炎について書いてきましたが、どうだったでしょうか?
「怖さ」が少しでも伝わったなら嬉しいですが、なかなかどうしても
誤嚥(=むせる) → 死につながる
というイメージはしにくいのではないでしょうか。
私も実際にそうでしたし、私の介護現場での経験を踏まえても、そこまで神経質になられている方は少なかったように思います。
でも、いざ利用者さんが誤嚥性肺炎になって亡くなったという連絡が耳に入ったりすると、「もう少し出来たことがあったんじゃないか。」と思ったりもしてしまいます。
だから、そうならないように、覚えておかないといけない事は全力で覚えておきましょうね。
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