
介護業界は慢性的に人手不足です。でも、辞めたくなるのと人手不足とでは少しニュアンスが違います。完全にイコールではないです。介護業界には正直言って求職者はよく来ます。でも辞めていく人がとにかく多いのです。2025年問題とかいうフレーズばかり独り歩きしていますが、介護業界はなぜ辞める人が多いのか?を日本政府にはもっと真剣に考えて欲しいところです。
今回は、介護の仕事を辞めたくなる理由【休日・休暇についての巻】の視点から、リアルな介護現場を書いていきたいと思います。
目次
辞めたくなる理由①「公休」の扱い
世間の公休日数
あなたは公休の数を他の企業などと比較してみた事があるでしょうか?
「公休」とは公的に定められたお休みの事です。
各施設によって、下記のように定められている年間の公休日数が違います。
・年間99日
・年間110日
・年間120日
公務員を基準に考えると、暦通りに休日があり、またGWやお盆、正月休みなども入ってくるので、年間130日くらいは休日があります。
では、介護業界はどうなのか?
あなたの施設では何日ありますか?
把握されてますか?
私が過去に働いてきた施設では、年間107日、年間120日、年間116日、など施設によってバラバラでした。たまに年間100日を下回るような施設もあるようですが・・・。
介護施設にあるべき公休日数は?
経験してきて思うのは、例えば特養などの重労働を余儀なくされるような施設では、年間110日を下回るような施設では、ブラックと呼んでもいいと思われます。毎日のことですからね。間違いなく体壊しますよ!私個人の感想としては、年間120日は欲しいところです。
もしあなたが、年間90日代の施設で働かれている場合、もっと「公休」に対する意識を持ってください!と言わせて下さい。明らかに搾取されていますからね。
本当に自分の体と時間を大事にして欲しいです。
なぜ公休日数が仕事を続けるうえで大事なのか?
次の見出しでも書いていきますが、全国的に知られているように、介護業界は人手不足です。だから、「有給休暇」というものがとりにくい状態が常態化しています。
別に有給は労働者の権利だから、上司や使用者の許可なども関係なく使用していいんですよ。でも、人の命を預かっている仕事の特性上、人道的に背くような気がして気兼ねなく休めないですよね?
その辺をもっと使用者(経営者)や日本政府には考えてもらわねばならないよ思います。
労働者の権利を犠牲にすることによって、介護業界は成り立っているという現実を
だからこそ、何の気兼ねもなく休める「公休」日数が超大事になってきます。
「うちの施設は公休125日!」などと書いてある求人を見たら、とりあえず面接へGO!でもいいかもしれませんね(^_-)
辞めたくなる理由②「有給休暇」の扱い
有給に対する施設の考え方は?
まずもって、有給は労働者に当たり前に与えられた「権利」ですので、施設や上司からとやかく言われる筋合いはないってことです。
あなたの職場ではどうですか?
私が過去にいた施設ではこんな管理職がいました。
・オレは全然有給とってないのに、有給を使うお前らのフォローなんてできるか!
・有給を申請すると理由を明確にせずに「今はやめてほしい」とだけ言ってくる
・「有給を使ったらボーナスを下げる」とほのめかす
・施設での就業中にインフルエンザやノロウイルスに感染しても、上司が有無も言わせず、公休を使用して、有給は使わせない
こんな施設ばかりでした。
完全アウトです・・・。
こんな施設は即刻辞めてください。
また決して出世はしないほうが良いでしょう。超苦労しますから。
有給に関する施設側の権利とは?
労働者の権利である「有給」に対して、施設側(使用者)に認められている権利は、「時季変更権」のみです。
有給を使用する時季を変更してもらえないか?という事を労働者に打診できるわけです。しかし、これも相当の理由がないと出来ません。もちろん労働者が「無理です。」と言えば変更も出来ません。
だから、施設側に認められている権利は、「有給を使う時季を少しずらせてもらう権利」だけであって、有給の使用を制限させたりすることは絶対に出来ないのです。
「有給使うな!」は権利侵害であって、私のいた施設の「有給使うとボーナスを下げる!」などは、脅迫でしかありません。ここ福祉の世界ですよ!?
有給は労働者の権利です
さきほども書きましたが、有給休暇は労働者の権利です。
また、2019年4月から、各事業所には、「労働者に年間最低5日は有給はとらせるように」と義務付けられることになりました。
だからこそ、施設側はもっと、
どうやったら職員たち全員が、有給を全部消化できるようになるのか?
について知恵を絞る必要があります。
どうせ介護業界は奉仕精神が強い人が多いので、有給を全部使う人は少ないです。
だからこそ施設側は、「有給を全部消化できるように」という視点で考えるくらいでちょうどいいです。
私の過去に努めた施設でも、こんな事を考える施設は全く皆無でした。忙しいのでしょうけど、施設経営者の皆さんは職員の有給についてなんて興味がないんです。結果は別として、その職員の事を考える姿勢だけで人手不足解消につながるんですけどね~。
辞めたくなる理由③「その他の休暇の扱い」
介護業界は、GW、お盆、正月が一番憂鬱
公休や有給以外の休みといえば、ゴールデンウィークやシルバーウィーク、お盆休に正月休みの事です。
介護業界には、まずもってこれらの休暇がありません。
時季をずらせて交代にとるなどの話ではありません。
全員にないんです。
私も特養に長く勤めていましたが、とにかく重労働です。そして人手不足。
そんな毎日を繰り返しているのに、年間通じてリフレッシュできる時が一切ないのです。
人手不足も慢性的になり、もうかれこれ何年同じ事「職員増えないね~」を耳タコくらい言い続けているのやら。
パラダイムシフト~人生のプランニング方法から学べ~
人生を充実させるには、先々の計画をたてる際に、先に遊びの予定を手帳などの予定表に書き込む事が大切です。でないと、ワークライフバランスが崩れていって仕事人間?行きつく果てはうつ病?になる恐れがあります。
だからこそ、私も真っ先に何か月か先の遊びの予定まで手帳に無理やりにでも書き込みます。
施設経営者さんや管理職の方には、この発想を、この有給やリフレッシュ休暇を考える際にも持って頂きたいと思います。
職員の少々の増減にも揺るがないほどに、「職員がお盆や正月にリフレッシュ休暇をとるのが常識でしょ!」を前提に施設の運営を考えて欲しいと思います。
パラダイムシフト~時間がとれたら、お金ができたら・・・~
時間がとれたら、お金ができたら、などが口癖の人は、結局いつまでたっても自分のしたい事ができません。
施設の運営も、余裕が出来たら職員のリフレッシュ休暇なども考えるというようなスタンスでは一向に良い施設は出来ないでしょうね。
「職員は有給もリフレッシュ休暇もとれて当然!」
「でも、それらの休暇がとれていないうちの施設はいけてないな~。」
といったマインドにトップが変わらないと、職員が施設に貢献してくれるのは無理でしょうね。
だってこういう考え方が出来ない経営者さんは、たとえ職員が結構貢献してくれていても、間違いなく、
「職員が施設に貢献して当然!」
という発想が勝っているから、感謝する事が出来ないんですよね。
ろくに休暇もなく、サービス残業もしてくれて、それだけでかなりの貢献度(間違ってますが)だと思うんですけどね~。どこまで施設経営者さんって傲慢なんですかね~。
施設経営者さんからは、「じゃあどうすればいいだよ!?」と吠えられそうですが、難しい事はないと思います。
まずは職員の人生に興味を持つだけでも必ず前進します。
さいごに
介護の仕事を辞めたくなる理由【休日・休暇についての巻】と題して、「休日」にフォーカスして、介護業界の離職について書いてきました。
①公休
②有給
③休暇(リフレッシュ)
これらすべてが介護業界では充実していません!
これが現実で事実です。
見事にないないづくしです。
介護の仕事をする連中には、給料も少なくていいし、休暇もなくていい!
これが、介護業界に対する、この日本国の現在の評価なのです。
そりゃ人手も増えません。
だからこそ、介護施設で働く人間などは、性格が歪んでいきます。
そういった人たちが施設を牛耳るから、新しい職員が辞めていく一因を担ってもいます。負のスパイラルです。
介護業界を去っていく人は「なんとなく、いやだから。」といって辞めていく人も多いと思います。でもきっと、その理由を深堀していくと、いろんな理由に突き当たります。この記事の「休日」についても、きっと大きな問題であることは間違いありません。介護に携わる人たちは奉仕精神が強いから、辞める理由がきっとぼんやりとぼやけているだけです。
問題がある時は、その問題を空中浮遊させずに深堀していく習慣を、特に介護業界の限っては経営者や管理職の方には身に付けて欲しいと思っています。
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