
褥瘡(床ずれ)の原因が4つだと言われている事をご存知でしょうか?
しかし、介護現場で毎日高齢者を見ていると、褥瘡(床ずれ)のある方が必ずその要素に当てはまるわけではありません。
リアルな介護現場では、そんなに綺麗にデータ通りにはいきません。
この記事では、褥瘡(床ずれ)の原因の基本の4つを軸に、在宅や介護現場で介護する人が特に注意しないといけないポイントに絞って書いていきたいと思います。
リアルな介護現場での褥瘡事情について知りたい方は是非ご覧になってくださいネ。
この記事で得られる情報
目次
「褥瘡(床ずれ)の原因4つ」とはなにか?
褥瘡(床ずれ)の原因4つ~その①|圧力
高齢者に関わらず、若い人でも、ずっと同じ姿勢で寝続けることは不可能ですよね。
元気なうちは無意識のうちに寝返りをうてるから、カラダにかかる圧力を分散出来ているのですよね。
しかし、寝たきりになると寝返りは当然自分ではうてず、同じ個所に圧力が加わり続けることになります。
そして、圧力が加わり続行ける部位は、血流が行き届かなくなります。
血液が届かないと、栄養が行き渡らないわけですから、細胞は壊れていくわけです。
そして、皮膚が腐り大きな穴が出来てしまいます。
褥瘡(床ずれ)の原因4つ~その②|摩擦
介護技術では、
「摩擦を起こさせない」
のは基本中の基本です。
老人ホームなどに入居される高齢者の人たちは、特に皮膚が弱いです。
私たちの想像を絶するくらいに皮膚が弱いです。
これは本当にビックリしますよ。
褥瘡が一番できやすいと言われているのが、『仙骨(せんこつ』部と言われる、おしりのちょっと上のさわると骨が出ているのが感じる部位です。
この仙骨部は、寝たきりだとただでさえ❶の圧力が加わっていますから、お尻を拭いたりする時も摩擦は加えないよう注意が必要です。
褥瘡(床ずれ)の原因4つ~その③|乾燥と湿潤
毎日、家事をこなされる主婦の方などは特に理解しやすい話だと思われますが、手先がアカギレますよね。
あれは、
「手が濡れる→乾く→濡れる→乾く」
の繰り返しで、どんどん皮膚の中の水分が奪われていっているんですよね。
だから、保湿クリームなどをこまめに塗らないといけないですよね。
寝たきりの高齢者のお尻なども同様の事が起こります。
オムツを巻いていると、当然お尻や陰部などは蒸れます。そして、拭いたりして乾燥します。また蒸れます。しかも尿や便などの刺激も加わります。
当然、皮膚にはよくないわけです。
褥瘡(床ずれ)の原因4つ~その④|低栄養
低栄養と聞いてもあまりピンとこないですよね。
高齢になってカラダがどんどん弱ってくると、食事もあまりとれず、栄養状態が悪くなる人も多いです。
すると、やはり病気や皮膚疾患なども治りが遅いです。
カラダの再生機能に大きく関わってきます。
血液検査をすると、アルブミン値(Alb)という数値があるのがわかると思います。
このアルブミン値が栄養状態を表しています。
この数値が、3.5を下回ると、何らかの栄養障害があると言われています。
実際の介護現場では、2~3くらいの人をよく見かけます。
完全に褥瘡予備軍という事ですね。
「褥瘡(床ずれ)の原因は4つ」は果たして本当か?
「褥瘡の原因は4つ」は全てが揃うと褥瘡になるの?
経験上、上で見てきた4つが揃ってしまうと、間違いなく褥瘡にはなるでしょう。
しかし、注意が必要なのはどんな事でも、
「どの程度のレベル?時間は?頻度は?」
という情報です。
低栄養などは、アルブミン値という数値で出るので、一目瞭然ですが、❶圧力、❷摩擦、❸乾燥と湿潤などは、それぞれのレベルがわかりません。
それを体感で掴むことが重要です。
もちろん個人差がありますが、2時間おきの寝返りの介助を行っていても、仙骨部に褥瘡が出来る人はいます。
「褥瘡(床ずれ)の原因は4つ」の中で特に注意しないといけない要素は?
元気な私たちでさえ、例えば、正座など、おなじ姿勢でしばらくいたら脚がシビレたりしますよね。
足のシビレなんて結構短時間でなりますよね。そして、カラダによくないことは感じますよね。
圧力による不快感なんて、自分のカラダだからすぐに気づきますが、他人のカラダとなると、なかなか気づけないものです。
例えば、寝たきりの人の気持ちになってみたとして、
となるとキツイですよね。
正座の例のように、人のカラダはほんの数分でシビレますからね。
「褥瘡の原因は4つ」の罠?|介護現場で感じる原因のリアルとは?
「褥瘡の原因は4つ」の例外
毎日介護現場で高齢者に接していると、まれに、以下のような方がおられます。
✅もちろん寝返りは自由にされている。
✅食事(栄養管理されている)は毎回全て食べてしまわれる。
✅血液検査でのデータもさほど異常はない。
✅入浴の拒否もなく、いつも入られる。
✅失禁はほぼなく、蒸れることはあまりない。
それなのに・・・
臀部や大転子(左右の骨盤の辺り)に大きな褥瘡が・・・。
もちろん何かしらの要因はあるはずなのです。
しかし、この例のように医療職でも
と、理解に困るパターンも往々にしてあります。
「褥瘡の原因は4つ」の例外での注意ポイント
前項のように、褥瘡の4つの原因にはあまり該当しないんじゃ?と思うような場合でも褥瘡になることはあります。
と思う事例はマレにあります。
こういった場合、高齢者のカラダをむしばむ要因として大きいのは、やはり、廃用症候群(生活不活発病)ではないかと思われます。
若くても、あまり動いてないと血流が悪く肩こりや頭痛が出たりします。
要介護の高齢者などは、内臓の機能自体が弱ってきていますし、血流などについては特に弱まっていることが想像されます。
血流が弱いと皮膚も栄養補給が出来ませんから、腐ってくるのが早いことはうなずけますね。
廃用症候群予防は、介護士の仕事の真骨頂の一つでもありますね。
「褥瘡の原因は4つ」は本当か?|まとめ
まとめますが、「褥瘡の原因は4つ」は以下の通りでした。
褥瘡の原因4つ
❷摩擦
❸乾燥と湿潤
❹低栄養
そして、褥瘡の主な原因4つを知ると共に、
「どんな場合にこれらの要因のどれが特に強く作用するのか?」
という事を相手目線で細かく分析する事がもっと大切です。
介護現場あるあるですが、
は思い込みであることはご理解いただけたかと思います。