【関節拘縮の予防】介護する人は知っておきたい5つの基本ポジショニングとは?
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質問者
「関節の拘縮ってどんどんヒドくなるように思うんですが、何か出来ることはないんですか?」

296
「人間のカラダのメカニズムを理解して対応すると効果的みたいじゃよ。」

関節の拘縮の予防って介護する人を本当に悩ませますよね?

関節の拘縮はどんどん悪化しているように思えるし、拘縮の進行によりオムツ交換も入浴介助も全てが難しくなるし、寝ている姿勢でさえ保持しにくくなる。

場合によっては、自分の腕でカラダの褥瘡を作ってしまう場合だってあります。

この記事では、関節の拘縮を予防するのに介護する人は知っておきたい5つのポジショニングについて解説していきます。

関節の拘縮を予防する為の介護の基本を知りたい方は是非ご覧くださいネ。

この記事で得られる情報

関節の拘縮を予防する介護方法(5つの基本ポジショニング)

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【関節拘縮の予防】介護する人は知っておきたい5つの基本ポジショニングとは?

ここでは、関節拘縮を予防するための主に臥床時(寝ている時)のポジショニングについて5つに分けて説明していきます。

しかし、その前に絶対に忘れてはならない「関節拘縮についてのとっても大切な考え方」について書いておきます。

関節拘縮についての大切な考え方

✅拘縮になろうと思ってなっているわけではない
✅拘縮は自分で力を入れているわけではない
✅緊張が拘縮を助長する

これら3点のポイントを抑えながら介助していきましょう。

それでは拘縮の予防を介護する人は知っておきたい5つの基本ポジショニングについて見ていきましょう。

 

関節拘縮の予防の基本ポジショニング~その①| 頭・首

頭の下には、枕やクッション等を用い、少し前屈気味(あごを引いたような姿勢)になるようにします。

逆に後屈気味のままだと、だんだん背中側から頭を引っ張られるようになります。

すると、口も勝手に開いていき、開いたままの状態になってしまいます。

そうなると、口腔内の衛生状態も悪くなり、誤嚥性肺炎の温床ともなってしまいます。

関節拘縮の予防の基本ポジショニング~その②| 腕

腕の下にクッション等を置くなどし、腕は少し内転気味にする。

腕をカラダの内側へすぼめる感じで、胸を張る姿勢の逆ですね。

「え?どんどん内側へ拘縮しているのに、内側へって逆じゃないんですか?」

と思われがちですが、<関節拘縮についての大切な考え方>にも書いたように、筋肉に緊張を与えず、緩和してあげる事が重要です。

関節拘縮の予防の基本ポジショニング~その③| 腰・背中

腰から背中にかけての筋肉が縮こまらないように、骨盤を後傾位(猫背のような姿勢)に誘導します。

平らなベッドに仰向けで寝かされ続けるのは、はっきり言って地獄なのです。

よく低反発のベッドマットのCMなどでも紹介されていましたが、背中のラインと普通のベッドマットって綺麗に一致しないんですよね。

だから、寝ているだけで特に背中側の筋肉に緊張が走りますし、局所的に圧力が加わるため、褥瘡も出来ちゃいます

時々、脳卒中などの病歴なないのに、認知症だけでカラダが弓やのように後ろに反り返っている人が入所されたりします。

「きっと、姿勢を気にせずベッドで寝かされ続けたんだろな・・・。」

なんて思ってしまうわけです。

関節拘縮の予防の基本ポジショニング~その④| 脚

両脚が拘縮で曲がったままにしていると、いずれ左右のどちらかに倒れて、そのままカラダがねじれて拘縮してしまう方も多いと思います。

そうならないように、脊椎のねじれを真っ直ぐに直し、脚が倒れないように、下肢の下側から点ではなく大きな面でクッション等で支える事が必要です。

 

関節拘縮の予防の基本ポジショニング~その⑤| 褥瘡や尖足予防

「尖足(せんそく)」とは足先がピーンととがったようになることです。

人間は歩いて足首に重力を与えているから、足首があちこちへ自在に動きます。

しかし、寝たきりになって足を使わなくなると、背中から引っ張られるようにピーンと足の筋が張ってしまいます。

その為、背中側の筋肉に緊張を与えないように、身体の各部位を下側からクッション等で大きな面で支えて筋肉の緊張を和らげます。

また、足裏には、三角クッション等を置き、かかとに圧力を与えない、足首を90度近くの角度に保つ等のポジショニングを行います。

 

5つの基本ポジショニングについて見てきましたが、とっても大切なので、関節拘縮についての大切な考え方をもう一度書いておきます。

関節拘縮についての大切な考え方

✅拘縮になろうと思ってなっているわけではない
✅拘縮は自分で力を入れているわけではない
✅緊張が拘縮を助長する

という事でしたね。

「そんなの当たり前だよ~。もう知ってるよ~。」

と言われるかもしれませんが、本当に当たり前です。

しかし、当たり前だからこそ、人はつい忘れてしまうのです

この基本的な大事なポイントを忘れた時に、介助中に、

ボキッ!!!(゚Д゚;)

なんて事が起こってしまいます・・・。

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関節拘縮を予防する為の介護方法は、腹臥位(ふくがい)が効果的!?

関節拘縮の予防の介護技術| 腹臥位(ふくがい)ってなに!?

質問者
「腹臥位(ふくがい)ってなんですか?初めて聞いたんでですが。」

296
「簡単に言うと、うつ伏せのことじゃよ。」

仰向けが仰臥位(ぎょうがい)と言われるので、腹臥位(ふくがい)はその逆で「うつ伏せ」なんです。

介護の仕事をしている人なら、信じられない人がほとんどですよね?

介護士
「うつ伏せなんてあり得ない!窒息して死んだらどうすんだよー!?」

なんて思うのが普通ではないでしょうか。

しかし、仰向けで寝ていると、背中の筋緊張が拘縮を助長するという事がわかっている以上、安全にしっかりと配慮したうえで医療のアドバイスを受けながら取り組んでみる価値はあるようです。

関節拘縮の予防の介護技術| 『腹臥位(ふくがい)』を実践している施設はるの?

質問者
質問者「しかし、実際に『腹臥位(ふくがい)』を実践している施設はるのですか?」

296
「多くはないが、あるようじゃよ。」

私はこんな方法を実際にやっている施設等があるのを聞いて、正直目からうろこでした。

なにせ、私が働いてきた施設では、

「利用者さんを少しでも下向きにするな、窒息するぞ!」

と、口うるさく言われてましたから。

もちろん、こいった腹臥位が出来る方って限られていますし、完全うつ伏せというわけではない事も多いです。

そして、何より、「しばらく付きっ切りで見守りの介助が出来る」、「超こまめな巡回が出来る余裕がある」等の体制づくりが一番大切なのは間違いありません。

関節拘縮の予防の介護技術| 腹臥位介助のもたらすメリットとは?

質問者
「そんな危険な臭いのする事やるメリットはあるんですか?」

296
「拘縮予防以外にもいろいろとあるようじゃよ。」

では、なぜ、あえてこんな窒息の恐れのある危険な体位をとったりするのかと言うと、もちろんそれに対してのメリットがあると思われるからですよね?

この拘縮の話の流れでわかる事は、まず、

うつ伏せだから、体の前面側の筋肉が緊張する

という事です。つまり、バランスよく前後の筋肉の緊張が起こるわけですから、中和されて、

拘縮になりにくい

という事ですよね?

立っている時や歩いている時には、さらに全体にバランスよく前進の筋肉に緊張が加わりますから、もっと良いでしょう。

だから、介護においての離床介助や車椅子でのポジショニング等も、とっても大事なんですね。

介護士さんが専門職である部分です。

また、そのほかの「腹臥位のメリット」には、下記のような効果もあると言われています。

腹臥位姿勢のメリット

✅褥瘡予防
✅誤嚥性肺炎の予防
✅便秘の予防
✅尿路感染症の予防

これだけの効果が期待できるなら、「やってみようかな・・・。」なんて思ったりしますよね。

でも、ほんと窒息や嘔吐の危険性が充分にありますから、くれぐれも実践してみる場合は、医師や看護師さんと相談し、計画的に行ってくださいね。

【関節拘縮の予防】介護する人は知っておきたい5つの基本ポジショニングとは?|まとめ

関節の拘縮を予防するための介護で、知っておきたい5つのポジショニングについて見てきました。

❶頭・首のポジショニング
❷腕のポジショニング
❸腰・背中のポジショニング
❹脚のポジショニング
❺褥瘡や尖足予防

そして、どのポイントにおいても重要なのは、

関節拘縮についての大切な考え方

✅拘縮になろうと思ってなっているわけではない
✅拘縮は自分で力を入れているわけではない
✅緊張が拘縮を助長する

ということです。

介護するにあたっては、

介護士
「なぜ、緊張状態になるんだろう?」

介護士
「緊張をほぐすにはどうしたらいいんだろう?」

といった視点で常に介護する事がとっても重要だということですね。

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