


高齢者の便秘の原因や特徴は、便秘に困った人であれば知っておかないとマズイ問題ですよね。
高齢者も便秘によって痛い目に合う方が多いのです。もちろん介護者にも負担がかかります。
だからこそ、高齢者の便秘の原因や特徴を押さえて事前に対処していくことが本当に大切です。
この記事では、介護現場での経験の視点から、高齢者の便秘の原因や特徴から介護者が注意すべきポイントまでを解説していきます。
この記事で得られる情報
高齢者の便秘ケアで介護者が注意すべきポイント
目次
高齢者の便秘の原因や特徴は?
高齢者の便秘の原因や特徴は?
介護施設で働いていると、必ずといっていいほど神経質になるのが、この「お通じ」の問題です。
高齢の方は、本当に快便される方が少ないです。
ではなぜなのでしょう?
お医者さんに聞くと、きっともっと理由はあるのでしょうが、私が日々介護をする中で感じるのは、
✅運動
✅座位姿勢(ざいしせい)
というポイントです。
詳しくは次項にて説明していきます。
便秘で発熱や嘔吐する高齢者は多い?
介護施設では、時々、

しばらくして、


なんてことがあるわけです。
この時に
「便が5日間も出ていなかった。」
なんて話もあるわけです。
施設で排便コントロールをされている場合は、あまり遭遇しませんが、でも時々おられます。
下から便が排泄できないわけですから、上(口)から戻ってくるというわけですね。
排便コントロールについては、また後述しますネ。
高齢者の便秘の原因や特徴は?|『水分』摂取の問題

高齢者の便秘の原因の代表格は、やっぱり水分です。
とにかく、高齢者は水分摂取が少ないです。
逆に疾病などの理由から、飲み過ぎるほど飲まれる方もおられますが、大体はこちらがお勧めしても、スムーズには水分を摂ってくれません。
なにしろ汗をかくくらい動くという事が少ないですからね。仕方ないっちゃ仕方ないですよね?
若い人であっても、一日動かない日は、あまり喉も渇かず、お腹もあまり減りませんものね。
では、なぜ水分が少ないと便が出ないかと言うと、
便がカチカチ
だからです。
便はある程度水分で潤っているからこそ、スムーズに排泄されるのですが、カチカチだと、形が変形せずに、巧く流れてきません。
便秘がちな人であればわかりますよね?(;^ω^)
そんな理由からも、介護施設では、毎日水分量のチェックというものが欠かせません。
1日に500ml程度しか水分摂取出来ないような人は、やはり便秘がちです。
高齢者の便秘の原因や特徴は?|『運動』の問題

これも若いわたしたちの方がよくわかりますよね?
振り返ってみれば、あなたが学校や仕事などで一日動き回った日と、休みで一日動かなった日を比べればわかり易いと思いますが、便の出方って微妙に違いますよね?
私は基本的に毎日快便の人間です。
でも、一日ほとんど動かなった日などは、やはり少々便秘気味になっています。
これが高齢者ともなると、さらに活動量は減ります。
自分で動ける人でも活動量は、若い我々に比べると少ないのに、ましてや寝たきりの人などは尚更です。
完全に寝たきりの人が、お薬や看護師の手を借りずに、自然に排便をするなんてことは、本当に稀です。
もし仮に、

などの事実があるのなら、それはその人の腸が超人的に強いか、とっても素晴らしい介護をしているのだと思います。(^_-)-☆
高齢者の便秘の原因や特徴は?|『座位姿勢』の問題
高齢者の便秘の原因は『座位姿勢』をとっていないから?

普通は、「水分」、「運動」ときたら、次は「食物繊維!」と来るのだと思いますが、それは元気に動けている若い人であるからこそです。
しかし、要介護の高齢者の方々に限っては、ちょっと違います。
便秘に「食物繊維」が関係ないという話ではないですよ。もちろん「食物繊維」」も重要です。
でもね、長年の介護の経験上、サプリなどの手を借りて食物繊維を多く摂ったからって、出ないもんは出ないんです。
そこで、何が大事かと言うと、
座位姿勢(ざいしせい)
なんですね。
試してみるとよぉくわかります。
排便の環境は整えたとして、寝たまま便をしてみるのです。
まぁ、出しにくいですよね。
便を出すには、出しやすい姿勢というものがあります。
排便に関する人間のカラダのメカニズム
人間の体の構造上、理にかなったメカニズムがあるのです。
人間の体には、起立性大腸反射というメカニズムが備わっています。
便器に座ると、「便をするのだな。」と神経が働く作用のことです。

というのは当然ですが、座ること(寝ているのではなくて、体を起こすこと)によって、「排便をするぞ!」っていう信号を大腸へ送るという考え方が重要です。
寝たきりになってくると、便器に座るなんてまぁなくなりますよね。
一度オムツになってしまうと、トイレ復帰しない(させてもらえない)人も多いと思います。
だから、尚更便秘を促進してしまいます。
高齢者の便秘への「排便コントロール」とは?
私が介護施設に勤め始めて、経験してきた「排便コントロール」というものは、大体が、


※マイナス3日とは、便が3日間出ていないという事です。
※摘便(てきべん)とは、肛門から指を入れ、便をかき出すことです。
などといった、看護師の手によってお薬の投与によって、強制的に排便を出すものでした。
介護施設に勤めている方なら、よくご存じかと思いますが、摘便の光景などは本当に悲惨ですよね?(;^ω^)
下剤も種類によって色々とありますが、特に強い下剤を使用された場合には、入居者ご本人もかなりの量の便を失禁する事が多いです。

などと言われることもあるのですが、ベッド上で便失禁して、頭まで便が流れているなんてこともあるのです。
当然、普通は不快な気持ちになるでしょうし自尊心への配慮なんてあったもんじゃありませんよね。
また、それを処理する介護職員もかなりの労力を要しますよね。
そう、完全にLOSE―LOSEなのです。
高齢者の便秘で介護者が注意すべきポイントは?
看護師の手やお薬による、「排便コントロール」というものがどういう事か、簡単に説明しましたが、わかって頂けましたでしょうか?
簡潔に言うと、
高齢者の体に負担をかけ、強制的に便を排出すること
なのです。
だからこそ、介護現場における介護士の使命としては、出来るだけ、自然に気持ちよく排便してもらえるようなケアが必要になってきます。
正直、骨の折れる作業ではありますが、普段、下剤を多量に使用されて、オムツの中でかなりの量の便を失禁されていた方が、介護士の支援により、トイレに行ってもらって失禁することなく、気持ちよく大量に排便されることもあります。

と介護士冥利に尽きる瞬間ですね(^_-)-☆
ということで、適切な自然排便を促すためのケアのポイントですが、上に書いたように、
✅運動
✅座位姿勢
に注力する事が大切だと私は思っています。
完全寝たきりの人をトイレにお連れするというのは、身体の状況のアセスメントをしっかりとしないといけませんが、例えば、車椅子での生活で、少しは立てる人などは、かなりの可能性を秘めています。
水分ケアのポイント
まず基本の水分がとれていないと何も始まりません。
人間は食事からでも水分がとれると言われていますが、その食事分を差し引いても、高齢者であると、一日1500ml程度は飲まれることが理想とされています。
(※病気により水分制限されている人は除く)

と聞けば、結構多い感じがしますよね。
だから、介護者は、一日のどの時間にどのタイミングで、どういった内容のものを提供するか?などを細かく考えていくことが大切です。





など、嗜好やタイミングは、本当に人それぞれなのです。
運動ケアのポイント
運動については、まず、トイレ習慣というのが大切です。
朝起きてトイレに座る。朝食後にトイレに座る。午前中に1回座る。昼食後に1回座る。など、合計したら、かなりの回数の
立ち上がり→座り→立ち上がりの運動
をしているわけです。
これだけでも、だいぶ違ってきますよ(^_-)-☆
特にふくらはぎなどは「第二の心臓」とも呼ばれますからね。
こうやって反復運動をするだけでも、かなり下肢を動かしている事になり、血流も促され、いい事づくめです。
座位姿勢ケアのポイント

と安易に判断してしまう人も多くいます。
ですが、少しの工夫で座ってもらう事は可能になります。
トイレに座っての排泄は、重力の力もあり、入居者ご本人の負担もほぼなく、やはり、かなりの量の便が出ることも多いです。
オムツ交換であると、一気に大量に排便するわけでもなく、何回も交換しないといけないコトも多いのです。
そして、便がおしりの肌に触れている時間が長くなるわけですから、皮膚トラブルの事も心配しないといけない。
大便には大腸菌が多く存在するので、尿路感染症などを誘発する可能性もある。
こんな負の副産物に比べたら、少々頭を悩ませても、断然、トイレで排泄する事の方が良いですよね。
だから、
どうやったらトイレでの座位が保てるか?
にフォーカスして、とにかく便器に座ることを目標にすると良いでしょう。
目指すは、WIN―WINです(^_-)-☆
高齢者の便秘の原因や特徴は?介護者が注意すべきポイントはなに?|まとめ
高齢者の便秘の原因や特徴と、介護者が注意すべきポイントについて書いてきました。
✅運動
✅座位姿勢
介護者は、これらにフォーカスして支援していくことが大切だということでした。
下剤による『排便コントロール』には本当にいいことがありません。
単なる応急処置ですから。認知症の方も不穏になられますし。
だから、できるだけ自然な排便を目指して取り組んでいきましょう。