
介護離職が社会問題になっている現代ですが、介護離職を考える前にもっと大事なことが、この「介護と仕事は両立が出来るのか?」という問題です。
この記事では、長年介護業界で「介護」というものをあらゆる角度から見てきたベテラン介護士としての見解を述べさせていただきたいと思っています。
目次
「結論」介護と仕事の両立は出来るのか?
介護と仕事の両立は出来るのか?
まず、この記事のタイトルに対して結論を申し上げるとすると、
“ほぼ”と付けたのには理由があります。
これから、その理由について解説していきます。
介護と仕事の両立をさせるための条件
もし、介護と仕事を両立させるならば、以下の条件が揃っていることを必須として考えたほうが良いです。
・親が歩き回る認知症者でないこと
・親の体がほとんど動かず、生活のほとんどに介助を要する
・介護者に介護リテラシーが少しはある
・親の家から職場が近い
・協力し合える家族・親戚が近場にいる
これらに共通することは、
自分のペースで介護が行えるということです。
ここが大きなミソです。
介護と仕事の両立以前に大切なこと?
介護と仕事の両立は”ほぼ“出来ないと結論づけましたが、現在、
という人達もきっとおられると思います。
ただ、私がこの記事で伝えたいのは、「介護と仕事の両立は出来ない!」という事なのではなく、悲劇を生まないためには、「介護と仕事は両立出来ないという視点にたって今後を考える」ことが大切だと言うことです。
介護と仕事の両立を考えている人が“してはいけない”こと?
報道の意図に誘導されない
たまに、家で介護離職をしてまでも親の面倒を死ぬまで見たというドキュメントを美化して描くような番組もあるかもしれませんが、はっきり言いまして、これらは無視されたほうがいいと思われます。
「百害あって一利なし」とまでは言いませんが、いざ家で親を介護しようとしている人にとっては、地獄を見せることになりかねませんので。
「自分の親は家で家族が面倒みるのが当然」といった発想
虐待、介護殺人はあなたの身にも・・・
などといった観念にとらわれて無理して頑張らないことが大切です。
もし仮に、介護疲れで人間としての正常な判断も出来ないくらいに疲弊し、親を介護殺人で殺めてしまっても、多少の同情は買えるかもしれませんが、誰も助けてはくれません。
認知症という病気は、親の皮を被ったモンスターです。
「私が一人ででもお母さんを介護して見せる!」という正義感を持つこと?
正義感が強い人ほど陥りやすい罠が、介護疲れでの介護殺人に現れています。
介護殺人まで犯してしまった人たちは、比較的、母親思いで正義感があるような人が多いです。
と思われるのが、あらゆる事件の不思議なところなのですが、人間は追い詰められたら適切な判断が出来なくなります。
たとえ、人の命に関わることでさえも。
そんなことは歴史の事実で明らかです。
介護と仕事をどうしても両立させたいなら?
どうしても介護と仕事を両立させたい人は?
でも、どうしても介護と仕事を両立させたいという人もおられることでしょう。
そういった場合には、先ほどの条件を思い出してください。
・親が歩き回る認知症者でないこと
・親の体がほとんど動かず、生活のほとんどに介助を要する
・介護者に介護リテラシーが少しはある
・親の家から職場が近い
・協力し合える家族・親戚が近場にいる
この条件が全て揃うようであれば、介護と仕事の両立は可能かと思われます。
でも、可能だと思われるだけのことで、大変は大変です。
「介護と仕事の両立」への私の思い
これからは、母親を息子が介護をする時代になると言われています。
私は、これまで数十年間、介護業界を数々渡り歩いてきて、また役職も経験してきました。
そして、自分の母親のことはとても愛しています。自分の命がいくらあっても足りないくらい感謝の気持ちしかありません。
それでも、もし母親が認知症になった時、家で介護しようとは思いません。
別に「正しい」「間違っている」の話ではありません。
個人の価値観の違いです。
私目線での私の家族が幸せに過ごせる形は在宅介護ではないのです。
「家で家族が介護=愛情?」ではないということです。
まとめ
繰り返しますが、私がこの記事で何よりもお伝えしたかったのは、
という事なのではなく、悲劇を生まないためには、
ことが大切だと言うことです。
親に「死ぬまで家にいたい!」という強い思いがあり、それに答えてあげるのはとても崇高なことであり尊敬に値することです。
ただ、私には自分の親がもし「家にずっといたい!」と言ってきても、自分の力では叶えることは出来ません。
これまでに書いてきた条件を満たさない限りは。
介護と仕事の両立というテーマで書いてきましたが、親の介護問題にあたっては、親を想う気持ちはとっても大切ですが、行動は冷静にとることを是非おススメします。