介護関係者は忘れてはならない、鹿児島の老人ホームで利用者6名死亡事件
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もう、少し過去の話になりますが、昨年2018年に鹿児島の有料老人ホームで、1か月の間に6名の利用者が死亡するという事件が話題になりました。この事件の背景には、この施設の職員の全員が一斉に退職し、外部の看護スタッフの手を入れて医療的なケアはするものの、定員40名規模の施設で夜勤などは施設長が一人でしていたという驚愕の事実がありました。

 

過去の話ではありますが、介護に携わる人間にとっては、忘れてはならない事件で、ここから学ぶべきことはたくさんあるので、記事にしていきたいと思います。

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鹿児島の有料老人ホームの事件の問題点

事件の背景

この施設は、40名が居住する、住宅型有料老人ホームであり、同グループの訪問介護事業所から介護サービスが入っていたが、1ヵ月間のうちに介護の職員が全員退職し、訪問看護の医療的なケアはしていたものの、夜勤は施設長が1人で対応することで運営を継続していたとのこと。

 

そして、そのしわ寄せは当然のように利用者に行き、3日間のうちに4名が死亡するなど、合計6名の利用者の尊い命が失われたとのこと。

この施設側の言い分

もちろん、この事件が露呈されたのち、記者会見を行うわけですが、その会見にて施設側が訴えたことは、以下のような内容です。

施設側の言い分

①亡くなった6名は終末期の患者であった
②老人ホームの(人員)態勢などと6名の死亡との因果関係はない
③同市の特養などでは寝たきりや末期がんの人は入居できないから我々が手を差し伸べた
④(人員配置について)適正かと言われれば、適正ではなかったかもしれない。
⑤入所者の医療面については、医者と看護師が24時間呼び出しに対応できる状態で、これだけやっていて文句を言われる筋合いはない
⑥介護職員が全員辞めたのは、夜勤手当を1万円から7千円に引き下げる提示をしたことや「人間関係」が原因

この施設側の言い分を聞いて、あなたはどう思われました?

 

ご遺族の方ならば当然、はらわた煮えくりかえることでしょう。

私が当事者なら、施設を訴える事しか頭をよぎらないでしょう。

社会の目として客観的に見ても、亡くなられた方々には本当に胸がつまる思いです。

 

しかし、介護業界に身をおいている立場としては、この問題を「悲しい事件だった」でスルーするわけにはいきません。

 

なぜなら、もうそこまで迫っている危機だからです。

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社会で、介護施設で、もっと話題にあがらない「怖さ」

奉仕精神の功罪!?

介護業界で働く人々は、とにかく奉仕精神が強い人が集まっています。

まぁ当然っちゃ当然ですよね。他人の排泄の処理をしたりする仕事を選ぶわけですから。奉仕の気持ちがないと出来ないですよね。

 

でも、その奉仕の気持ちが邪魔になる時もあるのです。

 

奉仕の気持ちが強いがゆえに、不平不満を口にしながらも、頑張りすぎてしまうんです。そして、いつかプッツンと切れてしまって、うつ病になったり、虐待事件を起こしてしまったり、一気に退職してしまったり・・・。

 

自分の中の限界臨界点を高めに設定している人が多いから、上司や施設側も気づきにくく、発見が遅れます。

 

施設で真剣に大問題だと認識しないから、社会でも大問題にならない

この「奉仕精神の功罪」は個人に限ったことではなく、施設としても持っています。社会福祉法人やNPO法人といった非営利的な性格も邪魔するのでしょうね。

 

一般の企業以上に、とにかくイメージが大切ですから、いいカッコをしたいわけです。だから無理をする。

 

施設が社会へ訴えていかないから、社会でもっと介護業界の悲惨な実態が取り上げられない。

 

先ほどの事件のあった有料老人ホームへ話を戻しましょう。施設側に言い分は以下のようなものでした。

施設側の言い分

①亡くなった6名は終末期の患者であった
②老人ホームの(人員)態勢などと6名の死亡との因果関係はない
③同市の特養などでは寝たきりや末期がんの人は入居できないから我々が手を差し伸べた
④(人員配置について)適正かと言われれば、適正ではなかったかもしれない。
⑤入所者の医療面については、医者と看護師が24時間呼び出しに対応できる状態で、これだけやっていて文句を言われる筋合いはない
⑥介護職員が全員辞めたのは、夜勤手当を1万円から7千円に引き下げる提示をしたことや「人間関係」が原因

特に③や⑤などは、奉仕精神のなせる技でしょう。「おぉ~!すごいね~!」って思いますよね。

 

でも・・・

 

「そんなん、知らんがなっ!!」\(゚Д゚;)

ってな話ですよね。

 

どれだけ崇高な思いがあっても、人を死なせてしまっては、罪です。当然です。

無理なんだったら最初から言えよ!ってな話です。

 

社会人であれば、結構最初に教えられる基本的な事です。

 

・「出来る」「出来ない」をはっきり言う。

・一旦引き受けて、もし「出来ない」と思った場合は、出来るだけ早くに上司に相談する。

 

こういった新人社員さんでも知っていそうな事が、介護業界では上層部から末端まで出来ていないのかな?と感じています。

 

これを、私は「奉仕精神の功罪」と感じています。

管理職だけでも緊急会議すべし!リスクマネジメント

この鹿児島の有料老人ホームの事件を受けて、緊急に会議を開いた施設はどれくらいあるのでしょうか。

 

あまりないのが実態ではないでしょうか。

 

私の勤めていた施設でもやっぱりありませんでしたし、友人たちが勤める施設でもなかったようです。

 

人手不足が巻き起こす最たる悲惨な結末がそこに現実に描かれていたわけです。

 

これを自分事として考えられない施設は大丈夫かなあ?と思ってしまいました。

 

職員さんはあくまで労働者で、労働基準法が守ってくれるのです。悪質な施設で、辞めたいと思ったら、辞意さえ表明すれば2週間で辞められるのです。

職員たちが2週間後、一気にいなくなっている可能性だってあるのです。

 

そのリスク対策を、経営者や管理職が話し合ってないのって、怖すぎませんか?

この鹿児島の施設の同じ轍(わだち)を踏む可能性があるのですよ。

 

介護関係者は他人事ではなく明日は我が身だと思おう

介護業界に身をおいている人は、冗談ではなく、本当に「明日は我が身」だと思ったほうが良いです。

 

たとえあなたが入社早々の介護職員1年生だとしても、こういったマインドであなたの務める施設を見ていた方が良いです。

 

さきほどの鹿児島の有料老人ホームの施設側の言い分ですが、

施設側の言い分

②老人ホームの(人員)態勢などと6名の死亡との因果関係はない
④(人員配置について)適正かと言われれば、適正ではなかったかもしれない。
⑥介護職員が全員辞めたのは、夜勤手当を1万円から7千円に引き下げる提示をしたことや「人間関係」が原因

としていますが、

間違いなく、この時の人員態勢と6名の死因は間接的には関係ありますからね。

 

利用者の急変などの変化を早期に発見し、医療へ繋ぐのが我々介護士の大きな仕事でもあります。だからこそ、日々どの職種に人よりも利用者さんの表情や動きに目配り気配りしています。

 

利用者さんの急変を見抜いてすぐに医療へ繋げ、命を守った経験など沢山あるわけです。だから、この鹿児島の有料老人ホームのこの時の態勢のように、40名を施設長一人で見て、全員の命を救えるわけがない事くらいわかります。現実誰でも無理です。神でない限りは無理です。

 

しかし、本当に施設側の言い分⑥にあるように、夜勤手当の件や人間関係で全員退職に繋がったと施設側も感じていたなら、なぜもっと職員さんたちと話し合いの場を持たなかったのだろうと思ってしまします。そういった施設は多いとは思いますが、それで尊い命が救われるのであれば、本当に余計なプライドは捨てて頂きたいと切に願っています。

さいごに

今回は鹿児島の老人ホームでの事件について、私が思うところを書いていきましたが、本当にひしひしと身近に感じる事だけに怖いです。

 

今後も同じような事件は繰り返されるかもしれませんが、

 

・人の尊い命を預かる仕事

・労働者はいつでも辞める

・奉仕精神で成り立つ業界

 

というポイントを施設経営者や管理者の方々には、もっと緊張感を持って日々の運営を行っていただきたいと切に願っています。

 

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